民意の力

民主主義の限界は、代理民主主義にならざるを得ないこと。代理民主主義で最も大切なことは民意です。民意の力を信じたいと思います。

005 選挙制度案 衆議院 3人区2票制

 絶対的に優れた選挙制度というものは無いということを前提に考えなければならない。試してみたい選挙制度としては、完全小選挙区制と、都道府県単位の比例代表制である。現行選挙制度は、妥協の産物として出来上がったという事実も考慮する必要がある。また、衆議院参議院選挙制度を変えることも必要ではないか。参議院はかつて良識の府と言われていたが、今はその面影はない。

 まずは衆議院選挙制度にについて考える。私が提案するのは「3人区2票制」である。この制度は有権者にとって間違いなく付加価値が高い。有権者の立場で考えてみる。支持政党の候補者が2人いる場合、単独政権を期待するのであれば、2票ともその候補者に投票する。連立政権の方が良いと考えれば、1票は連立相手に入れる。あるいは連立してほしい党に入れる。与野党の拮抗を望むのであれば、1票を敵方に入れるというのもある。男女1票ずつというのもあるだろう。ともかく選択肢は大幅に拡大するので、考えることも多くなる。投票の楽しみが増えるので、投票率もアップする。

 さて、政党の側はどうであろうか。戦略が難しい。大政党は、2人立てるか、場合によっては3人立てて独占を狙うというのもあるかも知れない。小政党は、1人に集中するか、選挙協力もあるかも知れない。この制度のシミュレーションは難しい。これまでのような、死票が50%を超えるというようなことはないと思われる。つまり、民意の反映という点では小選挙区制よりはマシであろう。与野党ともに安穏とはしてられないので、常に切磋琢磨しなければならない。官僚の忖度も成り立たなくなる。国民にとって、より優れた選択肢が示されて実行される機運が出来上がる。「3人区2票制」はぜひ試してみたい選挙制度である。

004 選挙制度3

 付加価値の高い選挙制度というものを考えてみたい。その前に、現行の小選挙区1票制を、有権者の立場から考えてみよう。2大政党が未だ実現せず、多数政党が争っている状況を想定する。さて自分の選挙区に自身の支持する政党の候補者がいれば当然その候補者に投票する。その候補者が当選して、所属政党が政権を獲得すれば、めでたしめでたしである。単独政権であればなお良しであろう。有権者としては快感を得ることになる。連立政権の場合は多少複雑な思いがある。特に、候補者調整によって自身の支持する政党の候補者がいない場合は、大きな満足感は期待できない。

 一方、落選した場合は、がっかりするだけである。ややこしいのは、当選したが、野党になった場合。特に、候補者調整によって支持政党ではないが、しょうがなく投票し当選したものの野党になっちゃった場合。自分自身にどう折り合いをつけるか、難しい。つまり、野党候補に投票するのはリスクが大きくなりそうだ。

 政党の側からはどうであろうか。与党にとっては大きな問題はない。しっかりした政権戦略を作ることも難しくない。野党はどうするか。単独で挑む場合は問題はない。厄介なのは、候補者調整である。政権戦略もなく、候補者を一本化しようというのは、有権者にとって目くらましのようなもの。何かの弾みで政権が転がり込んできたときはどうしようというのか。野党の主張は、常に拡散する。そして、分裂要因となる。本来は、政党間ですり合わせて、政権構想を練り上げ、できれば統一政党として国民の信を問うべきであろう。そんな努力はみじんも見られない。結果、政治に緊張感や切磋琢磨が無くなり、忖度が跋扈することになる。

003 選挙制度2

 選挙制度の最大の問題は、賞味期限。特に、日本の現行選挙制度は明らかに賞味期限を過ぎている。何故ならば、目的とした政権交代が起きないからである。かつての中選挙区制では、疑似政権交代が何度も起きており、賞味期限が切れるときには細川連立内閣が誕生している。選挙制度が改革されて自民党の優位は続いたが、徐々に民主党が大都市を中心に勢力を伸ばす。この頃、守旧派の一掃と利権構造の解体、ということが声高に叫ばれるようになる。

 新しい選挙制度の下で、2度に亘って本格的な挑戦がなされた。小泉内閣民主党政権である。国民の高揚感は高まったが、2度とも結果的に失敗する。改革路線がとん挫する中で、2011年3月、東日本大震災に襲われる。

 その後の選挙では、戦前回帰を思わせるような自民党右派が伸長する。守旧派によって利権構造が温存される。あらゆる組織における忖度の蔓延。映画「怪物」では、小学校における校長に対する忖度を滑稽に描いている。忖度は、官僚や教育だけではない。地方自治体、企業経営、研究・開発、医療、介護・・・あらゆる人間組織を侵食している。忖度は、改革や創造の対極にある。もちろん忖度を簡単に悪と見做すことはできない。人間社会にとって必要不可欠なものでもある。要はバランスであるが、今は間違いなく行き過ぎている。

002 選挙制度を見直す

 日本をやり直すために何から手を付けるかが分かれば、半分は解決したことになる。いろいろな人がいろいろなことを言っているが、まず、最初に手掛けるべきは選挙制度改革。そんな話は聞いたことがないし、誰も言っていない。言っているのは私だけ?しかし、よく考えてみれば、これがすべての基本。民主主義の根幹に関わっている。

 現在の選挙制度は1994年に改革された。それからほぼ30年が経過してる。その時目指したのは、政権交代を実現するための小選挙区制。しかしながら出来上がったのは妥協の産物としての小選挙区比例代表並立制政権交代は一度実現したが、成功したとはだれも思っていない。

 日本は、重要な局面で選挙制度を巧みに変えてきた。1890年の自由民権運動を反映した第一回衆議院議員選挙。大正デモクラシーを反映した男子普通選挙制度。昭和に入って、軍部台頭による翼賛政治によって民主主義が破壊される。そして敗戦。1945年に完全普通選挙が実現する。選挙制度は1選挙区で3~5人を選出する中選挙区制が採用された。

 中選挙区制は、自民党の派閥政治を誘発したが、派閥間の切磋琢磨、離合集散によってダイナミックな政治状況が生まれた。そこに社会党も加わって、戦後日本復興の原動力となったことは否定できない。自由・平等・平和が常に議論される中で、大胆な経済政策が進められた。

001 日本再生の処方箋

 失われた10年から始まって、失われた20年、今では失われた30年だ。このままでは確実に失われた50年に突入する。いつから始まったかははっきりしている。バブル絶頂期の1991年。どうなったかということ

 「Japan as No.1」からの転落。

 もちろん、経済だけでなく、あらゆる分野に及んでいる。一つ一つ取り上げたら切りがない。日本全体に何とも言えない虚脱感が蔓延してる。沈みゆく船の中で、自分だけは何とか助かるだろうという甘い見通しにすがる人間は多い。一方、何とか船を立て直そうともがいている人間も少なからずいる。結局は沈みゆく船に留まり沈んでゆくのか。いったいどうしてこうなってしまったのか、どうしたらこの状況から脱することができるのか。

 果たして処方箋はあるのか。

 

  ある!!